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レディを抱くのも、このクソったれに出会ってからはすっかりご無沙汰だ。
無理もねえだろ。
誰よりも何よりも、このミドリハゲのディックが具合がいいんだ。
仕方がねえ。
初対面で、この野郎が俺に欲情したは丸わかりだった。
おもしれぇ、ヤるかと誘えば、ヤると言われてそのまま押し倒された。馬鹿力野郎が。
突っ込ませてやってもいいと言えば、最初からそのつもりだこの淫売と罵られた。
そんなとこもガキくせぇ限りで、なかなかイイ。
互いにこの関係を、組織同士の力関係にまで持ち込むつもりはないから、なかなかに快適なセックスを楽しめる。

セックスなんて、酒や薬みてえなもんだ。
酒や薬に好みがあるように、セックスにも相性がある。
だったら、ヤってみて一番すげぇ相手とヤりゃぁいい。
それがたまたまゾロだっただけの事。
そういう理由だ。
このクソ野郎以外のブツなんざ、ケツに突っ込ませたりしねえ。
いつか、なんで敵対する組織のボスと寝るんだとギンに詰め寄られて、そう答えた事があった。
ギンはなんでだか顔色を変えて、『ボス…あんた…』と言ったきり、絶句した。

ギンが言いたかった事だとか、なんて誤解したかはだいたいわかる。
だけど、少なくとも俺とこのミドリ野郎の間に『愛』はねえ。
万が一愛があったら、少なくとも瓶は突っ込んでこねえと思うがな。
気持ちよけりゃなんでもいい、俺も俺だがよ。

今度、ギンに聞いてみるのもいいかもしれねえ。
『ギン、てめえ、俺のケツに瓶突っ込みてえか?』
ってな。
面白れぇ顔すんだろうなぁ。



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老舗ホテル最上階のスイート。
でかい扉の左側に立って、そろそろ4時間になる。
「…」
ちらりと右側に立つ男を見る。
「…」
そいつと目があった。
しばらくにらみ合っていたが、やがてどちらからともなく目をそらす。

扉の中からは、物音ひとつ聞こえない。
三時間経ったら、中へ踏み込めと言われたが。
『まあよ、わかんだろ?そのへんうまくやってくれ。』
金色の髪をゆらして、ボスがそう笑ったのだから。
今夜はこのまま、ここで夜明かしだろう。
あのゾロシアという男は精力も有り余っていそうだし、うちのボスもしばらくは満足して仕事に精を出してくれるだろうし。
このぐらいの道楽は、既に隠居している先代も見逃してくれるだろう。

「…」
ふいに横から火のついた煙草が差し出された。
目を上げると、もう一人のボディガードが自分も唇に煙草をくゆらせながら、立っていた。
礼を言わずに煙草を受け取る。
互いに無言で、しばらく煙を吐いた。

煙草が短くなり、そいつが懐から携帯用の灰皿を出してきたので、やっぱり礼も言わずにそこに吸い殻を捨てさせてもらう。

無言のまま、また扉の左右に分かれて立つ。
扉の奥から、かすかに悲鳴が聞こえた気がしたが知らぬふりを決め込む。


夜はまだまだ長かった。



END



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